daitetsuでございますですよ。

きょうは金曜日。
一応週末に入りますが、かく言うワタクシは明日も仕事です。がんばります。
金曜日は、週末のサッカーや、週末とは関係ないサッカーについて書きます。
おととい軽く触れた、男子日本代表を巡る話について、今回はいろいろ言えればいいなあと思います。

11日の記事 で書いた通り、4月8日、日本サッカー協会は男子A代表監督の ヴァイッド・ハリルホジッチ を解任し、後任には技術委員長の 西野朗 が「内部昇格」という形で就任することを発表した。
まずは、ここに至るまでについて、ザックリと書いていこう。

ハリルホジッチが解任されるまで

ハリルホジッチ前夜

2014年のW杯・ブラジル大会で1勝もできずに辞任した アルベルト・ザッケローニ に代わって代表を指揮することになったのは、ハリルホジッチではなく ハビエル・アギーレ だった。 メキシコ代表 で結果を出していたこともあり、「日本的なサッカー」とは相性がよいと思われていたし、翌2015年のアジア杯ではその片鱗を見せてもいた。
が、日本代表とアギーレとの蜜月は長く続かなかった。
かつて率いていたスペインのクラブ、 レアル・サラゴサ で八百長に関与していたとして、スペイン検察当局に告発、訴追されたのだ。
これにより、日本サッカー協会はアギーレとの契約を解除、「後任探し」に追われることとなる。

そもそも、ハリルホジッチとはどんな監督だったのか

とはいうものの、すでに日本はW杯でのグループリーグ突破が長いことミッションとなっており、それを満たすレベルで、かつアギーレが代表から去った2015年2月の時点でどこにも属していない監督を探すのは簡単ではなかったことが容易に想像できる。そんな中で浮上したのがハリルホジッチだったのである。
ハリルホジッチになった詳細な経緯は、実は自分はよくわかっていない(お詳しい方はご教授いただけると幸いです)のだが、「決め手」の一つとなったのは、いいところなく敗退したブラジルW杯で、結局ホスト国の ブラジル を子供扱いした上で優勝した ドイツ を一番苦しめた、 アルジェリア代表 の監督だったということだろう。つまり「用兵型」の監督であることはこの時点ではっきりと見えていたわけだ。
ブラジルW杯で日本を率いたザッケローニは主力選手を固定する道をひた進んだ(そしてよりにもよって本番はそれで墓穴を掘った)が、対戦チームによって柔軟に戦い方を変えるハリルホジッチは、この時点で選手の「試し使い」を多用することも容易に想像できたし、実際そうした。チーム戦術に時間を割けないナショナルチームでは、むしろそのやり方の方が一般的で、実際2002年の日韓W杯では フィリップ・トルシエ がこのやり方で結果を出している。
とはいったものの、あまりにもスタイルが違いすぎていて、観ていて違和感を覚えた人(特にもっぱら代表戦を観るようなライトなサッカー好き)は少なくなかっただろう。
ハリルホジッチは日本を率いるにあたり、「縦に速いサッカー」すなわち「カウンター」を戦術の軸に据えた。思い切り乱暴にいうならば、「ゲーゲンプレッシングをしない、 ユルゲン・クロップ リバプール 」が近いように思う。ところがこれが、いろいろな意味で日本にはフィットしない。
そもそもショートパスをつなぐ要員ばかりが代表に選ばれていたというのもあるし、育成現場でも「縦への速さ」に特化した教え方をしている所は、今も日本では少ないようだ。さらにこの当時ピークは過ぎていたとはいえ、 バルセロナ スペイン代表 の「ティキ・タカ」は多くの日本のサッカー好きの琴線に触れた。 女子日本代表 がこのスタイルでW杯を制したというのも無視できない。
本来ならダイレクト志向の戦術で戦うザッケローニが日本代表ではポゼッション基調にせざるを得なかったのも、このようなことが背景にあったからだが、ハリルホジッチはこの「カウンター道」を突き進んでいく。つまり日本のファンの嗜好(自分の嗜好でもある)に逆らう方向にベクトルが向くことになった。
「ハリルホジッチのサッカーはつまらない」とは当時からよく聞いた話だった。でも自分には正直よくわからなかった。Jリーグを始めとする各国のクラブサッカーを追いかけることでいっぱいいっぱいだったというのもある。ただこれで、特にライトなファンが愛想を尽かしたとしても不思議はなかった。とにかく「スペクタクル」とは無縁のスタイルだからだ。
ただ「カウンター」イコール「つまらない」ということではない。先述のクロップのサッカーは面白いし、 ディエゴ・シメオネ アトレティコ・マドリー のサッカーもしかり。要はゴールまでの「道筋」を楽しめるかどうかということなのだと思う。
これで勝利という「果実」が得られればまだよいが、実際は微妙な結果が続く。新たな才能を、特にJリーグから少なからず発掘することができたのが、わずかな救いだったとはいえなくもない。
思えばこの「微妙」な状況が、ハリルホジッチをムダに「延命」させてしまったのかもしれない。危機的状況が明らかになったのが昨年のE-1チャンピオンシップというのでは、どんなに有能な人間が後任になっても立て直しは難しい。
そして今年3月のベルギーでの2連戦でまったくいいところを見せることができず、ハリルホジッチの首は飛んだ。

そして西野新監督へ

まったく解せない監督交代劇

確かにハリルホジッチは満足な戦果を上げたとはいい難い。が、彼を解任した4月7日の時点で、 ロシアW杯 の初戦・対 コロンビア 戦までたったの73日しかない。このわずかの間に何かしらの改善ができると考えるのは非常に難しい。日本サッカー協会の田嶋幸三会長は解任発表の席で、
数%でもいいから、W杯で勝つ可能性を追い求めたい
と語ったそうだが、自分は「数%でもあった可能性の芽を協会が摘んだ」と思っている。
後任の人選が、またどうにもよろしくない。
今さら方々から後任を探すのが現実的でないということはわかる。しかし近年日本国内でも結果が出ていない西野さんというのは、疑問符をいくつつけても足りないくらい解せない。あの「マイアミの奇跡」で知られる アトランタ五輪 はもう22年も前の話だし、その時ですら彼は、中田英寿というチームの核を手の内に入れることができなかった。
確かにあの時に比べれば彼も経験を積み、Jリーグ制覇という実績もある。しかしそれすらもう13年前のことなのである。
近年監督としての良績がないこと以上に危惧しているのは、代表の選手たちがどんどん欧州に出て、どんどん世界最先端の技術と戦術を吸収しているのに、指導する側がキャッチアップできていないのではないかということだ。
これでは選手一人一人が個で打開するか、「カオス」を作り出してその中を突破するしか、W杯を勝ち抜く方法はない。それをやっても、針の穴を通せるかどうかという、乾坤一擲の(しかもきわめて勝算の薄い)大バクチだろう。カウンターの格好の餌食となるのが容易に想像できる。

なぜこんなことになってしまったのか

しかしこんなタイミングでバトンを渡された西野さんも災難といえばそうなのだろう。なにせロシアW杯は、「数%の勝てる可能性もない戦い」なのだから。
思えばトルシエ→ ジーコ オシム 岡田 →ザッケローニ→アギーレ→ハリルホジッチと、「同じスタイル」が連続しないのが近年の日本のA代表なのである。きょう家に届いた『footballista』2018年5月号でも、
そこにビジョンがなく、ビジョンもないから継続性もない。だから監督に全部お任せになってしまう。日本サッカー協会の方針っていうのは、消極的な勝利至上主義なんですよ
と、西部謙司さんがおっしゃっていた。まったく同感である。場当たり的で、なかなか結果が出ないとそれまでのあり方を全否定してしまう。ハリルホジッチ-西野間にも「スタイルの継続性」は基本的にないと思う。女子代表も「監督に全部お任せ」なのは変わらないが、さすがにスタイルは継続しているから男子ほど大きく崩れることはない。

そうでなくても、「ここが面白い!」とか「ここが見どころ!」というのを探しにくいのが今の日本代表と言うことはできる。代表の選手が所属するクラブに帰ったら、あんなにも面白いサッカーをするのにだ。
100日足らずの後、日本サッカーを取り巻く空気はよくなっているだろうか。自分はとても楽観できないが、せめてクラブサッカーを楽しんで観られればと思わずにいられない。